施設紹介
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船型試験水槽
東京大学船型試験水槽は1937年に年に竣工された国内の大学が所有する長水槽として最も古い水槽です。東京大学は本試験水槽を用いて、アメリカズカップ艇の船型や、球状バルブ、超突出薄型バルブといった船首形状、そして水中翼付き双胴船の開発を行ってきました。さらに、水中曳航による乗用車の空力解析、トリマラン船型の特性評価など様々な実験、解析も行ってきました。最近では、船舶だけでなく、浮体式洋上風車等の海洋構造物の波浪中動揺特性やVIM (Vortex-Induced Motion)を調べるための模型実験も行われています。
水槽
長さ 85 m
幅 3.5 m
水深 2.4 m
曳引車
速度 0.05~4.00 m/s
キャビテーションタンネル
舶用模型プロペラの性能試験、キャビテーション試験等が出来るタンネルです。また試験胴を交換することにより二次元の翼型模型試験が可能で、汎用性のあるタンネル(減圧回流水路)である。日本の大学では唯一、船のプロペラの実験もできる装置です。
仕様
プロペラ用試験部 翼型用試験部
断面 450×450 mm 150×600 mm
流速 1~10 m/s 2~17 m/s
圧力 0.1~3.0 bar 0.1~3.0 bar
回流水槽
水中における物体の抵抗計測や流れの可視化等、主に学生実験・演習等で使用しています。
仕様
試験部長さ 1800 mm
試験断面 500×500 mm
流速 0.1~0.9 m/s
- 翼角制御による水中曳航体模型の深度調整のテスト(2023年度システム創成学科E&Eコース応用プロジェクト)
船型試験水槽の歴史
1937年 東京帝国大学、船型試験水槽を建設(全長85m、幅3.5m、深さ2.4m)
1952年 乾崇夫:特異点分布で船体を表す造波抵抗理論を発表。
1960年 乾・高弊・熊野:「球状船首の造波効果に関する水槽試験」を発表。
波形分析を主とする船型試験法で球状船首船型の造波効果を解明した最初の論文。
1961年 関西汽船客船「くれない丸」による“Waveless Hull Form実船試験:同型姉妹船「むらさき丸」と並走。
1963年 池端・梶谷:「第1種ウェ-ブレス船型の実用化に関する研究」(青函連絡船船型)を発表。
1967年 山県昌夫:文化勲章受章
1978年 乾崇夫:日本学士院賞受賞
1979年 船の非線形造波現象の解明を目指し、MAC法を発展させたCFDコ-ド開発に着手。
1980年 宮田・土屋・乾・安達:「Resistance Reduction by Stern-End-Bulb:1st. Report」を発表。
1981年 川崎重工の船尾端バルブ(KHI-STERN END BULB)を東海汽船の客船「すとれちあ丸」 に採用。
客船「おがさわら丸」に船尾端バルブ2号機を取り付ける。
1983年 ナビエ・スト-クス方程式を用いて複雑な流体運動を数値シミュレーションする
CFDコード(TUMMAC-IV)を開発。
TUMMAC-Ⅳによる船体全体まわりの波の計算を発表。
1988年 乾崇夫:文化功労者授賞
1992年 アメリカズ・カップ艇の船型開発を行いJPN-3/6/26で初めてヨットレース“第28回アメリカ杯“に挑戦。
「ニッポンチャレンジ」号が挑戦艇選抜レ-スで4位となる。
1995年 “第29回アメリカ杯”の船型開発。JPN-30/41で挑戦。挑戦艇選抜レ-スで4位となる。
2000年 “第30回アメリカ杯”の船型開発。JPN-44“阿修羅”/52“韋駄天”で挑戦。挑戦艇選抜レ-スで4位となる。
2005年 宮田ら:「CFD/水槽試験による双胴船型の開発」を発表。
2011年 宮田秀明:日本学士院賞恩賜賞受賞
2016年 船型試験水槽が船舶海洋工学会から「ふね遺産」に認定